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ロールレタリング(往復書簡)について

「ロールレタリング」とは?

自分から他者に、また他者の立場から自分に手紙を書くという、手紙(往復書簡)を媒介として、自己と他者の役割を転換し体験する方法です。

「感性内観」に比べ、より簡単に自己探求できる方法ですが、「感性内観」と併用することによって、さらに効果があがります。

どんな目的や効果がありますか?

  • 相手の気持ちや立場を思いやって手紙を書くことで、自分の内心に抱えている矛盾やジレンマに気づかされます。
  • 相手の立場から、自分に当てて手紙を書くことで、自分を客観的立場から観察でき、相手の心情をくみ取ることができます。
  • 意見が対立して不仲になった相手でも、相手の考えた価値観が理解でき、対立していた感情が自然に解け、悪化した人間関係を修復できるようになります。
Nさんのロールレタリング 

「母から私への手紙」

Nちゃん、ずいぶん前からNちゃんはお母さんに心を開かなくなってしまいましたね。お母さんは心の中でいつも寂しく思っています。

でもね、高校生の頃、お母さんとお父さんが離婚するかしないかの騒ぎがあったあたりから、だんだんこうなってきた気がしています。

お母さんもあの一件では傷ついていました。お父さんの浮気はもちろんのこと、Nちゃんがお母さんの味方ではないとわかった時、お母さんは本当に一人ぼっちだなって、とても寂しかったの。

あの時、Nちゃんを傷つけてしまったのかもしれないけれど、お母さんにも余裕がなかったの。

考えれば、ずっと余裕のない毎日でした。お母さんは家事をどうしても手を抜けない人だから、お勤めして子育てして家事をして、息つく暇もなく30年近い日々が流れました。

やらなければならないことをこなすのが精一杯で、お母さん自身もそれにふりまわされていました。ただみんなのためを思っていたからこそ、頑張るしかなかったのだということはわかって欲しいです。

お母さんはNちゃんがすることすべてを今まで許してきました。これからもずっとそうです。

お母さんはNちゃんの味方です。そしていつだって大切に思っています。そのことだけはわかって下さい。


私から母への手紙

お母さん、ずっと悲しい思いをさせてごめんなさい。

お母さんに心を開けないのは、お母さんを嫌いだからではありません。

お母さんに心配させたくないという思いがどんどん重なっていって、いつしか何も話せなくなってしまいました。

お父さんとお母さんの離婚騒動のとき、私はショックでした。

お父さんとお母さんがけんかしているのを、聞くのもつらくて仕方なかったけれど、それまでお母さんの味方でいてあげよう、お母さんを支えてあげようと一生懸命だったから、お母さんがお母さんでなく女なんだと感じた時、なんだかとてもショックだったのです。

でもその思いをお母さんに伝えることはできず、伝えられない分消化不良をおこした感情が、どんどんつもっていってどうしようもない位になって、話そうにも話すことができないくらいに大きくなってしまったのだと思います。

お母さんが私たちのためを思って頑張ってくれたことは知っているし、心から感謝もしています。ただ、お母さんが走り続けるのを見ているのがつらかったです。

もっと自分を大切にいて生きて欲しかったの。お母さんが私たちのために、つらい思いを毎日しているのかと思うと、私はいたたまれなかった。

私自身の存在が申し訳ない気がしていました。大好きなお母さんだからこそ、いつも険しい顔をしてつらそうにしているより、楽しそうに笑っていて欲しかったのです。

今まで心配をかけないつもりで頑張りすぎていたんですね。私も無理をしすぎていました。

お母さんはこの世の中で、一番の私の味方だよね?そのことをありがたく受け止めようと思っています。

これからもどうぞよろしく。

 
鬼木苑長のコメント

 Nさんをお世話し、私自身が新しい発見をし、彼女自身が変化してゆく姿を目の当たりにし、人間の内に潜む「感性の力」を回復する様子に感動しています。

彼女は、4泊5日の「断食内観コース」の研修に参加されました。内観に入る前はいつも、その方の動機や目的に沿って、モチベーションが高まるようお話をします。

彼女の場合も2時間ほど話をし、内観の作業に入りましたが、内観がうまくすすみませんでした。

そこで私は、改めて内観作業がすすみやすくなるため、拙著である「母の真実の愛にめざめて開く『感動の扉』」を読むように伝えました。

ほとんどの人が、この本を読むことによって感動し、非常に内観がすすむのですが、なぜかNさんには感動がなく、かえって議論の対象になって、激しい議論が始まることになりました。

それはすさまじいものでした。そんなわけで初日は議論で彼女も疲れ、内観作業を中断せざるを得ませんでした。

しかし、その議論中に彼女が涙を流し泣きじゃくった一幕がありました。涙なるものは、考えて流れ落ちるものではありません。議論は理性の衝突ですから、涙など出るわけがないのです。

彼女が涙を流したということは、私の話の中で、理屈を越えて共感する部分があったのでしょう。けっこう長い時間議論した後、私は静かに

「ここは議論するところではなく、内観するところです。君もつらかったけど、君のつらさの何倍もお母さんはつらく思い悩んでいますネ…」

と申しました。その瞬間、彼女の感性が動いたのでしょう。自然に涙が溢れ出たのです。

疲れを癒すため、私は「温熱ルーム」に入ることを勧め、彼女は約1時間温熱ルームに入って汗を流されました。その直後、すっきりした表情で、「内観をさせてください」と彼女から申し出てこられたのです。

その後の内観はスムーズにすすみ、お母さんに対する内観が深まっていきました。

その内観によって、いかに自分が独りよがりだったか、母との関係を疎遠にして、会話のない関係になっていた原因は、ことごとく自分にあったことに気づかれていったようでした。

それでも彼女は、原因のすべてが自分の中にあるところまで自覚することはできず、悶々として過食症と決別する自信ができたようには思えない表情で、一抹の寂しさを浮かべていました。

2日目、3日目はお父さんや妹さんに対する内観(記録内観)を行いました。

「記録内観」とは、内観の方法は同じですが、内観後、3つのテーマ(してもらったこと、して返したこと、迷惑、心配をかけたこと)に沿って自分でノートに記録していく方法をいいます。

内観は「日常内観」といって、自宅でも続けることが大切ですので、自分で進められる人には、この記録内観もやっていただいています。この記録内観によっても、内観がすすんで、いろんな気づきをされた方はたくさんいらっしゃいます。(詳しくは『内観教育のすすめ』をご参照ください)

Nさんの場合、お父さんに対しては、お母さんほど思い出すことが少なかったようでしたが、内観によって、お父さんに対する信頼、尊敬、感謝が薄く、疎遠であった自分に気づかれたようでした。

また、妹さんに対しては、思いやり、親切心などが殆どなかったことに気づかれ、どちらにしても、自己中心的であった自分を自覚されたようでした。

その後、再びお母さんに対する内観をしてもらいましたが、最初の内観に比べ、より実感を持っていろいろなことに気づかれたようでした。

4日目、私は「自分で自分を励ます励まし方」と、自分の「意志の力を信じる」ことを講話の中で教えました。また、初日、彼女に拙著の「人格は創り変えられる」の本を読むことをすすめておりましたが、彼女自身からその本を読みたいと申し出られ、本当に求める気持ちになって読んでおられたようでした。

そして、退苑する5日目の朝、彼女の晴れやかな顔と、凛とした張りのある挨拶の中に、Nさんの大きな変化を感じ、大変うれしく思いました。

「人格は創り変えられる」の本は、人生のハンドブックとして、これから何度も読むことで、自分が真に自立していけるのではと、感じられたようでした。

最後に、ロールレタリングの作業を実践して、自分の声で読み上げてもらいましたが、感情がこみ上げて言葉になりませんでした…。

そして別れ際には「すべてありのままの自分を母に打ち明けます。そして、必ず立ち直るよう努めます―。」とはっきり明言してくれました。

立ち直るか立ち直らないかは、本人自身のこれからの生き方にかかっていますが、その大きなキッカケをつくったことは間違いありません。

ここに「身心養生苑」の意味と価値があると思っています。

 Nさんの体験談
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